<講演>
「当事者の『障碍と生』の経験と子ども理解」
森 博俊氏(都留文科大学、日本臨床教育学会・副会長)
<課題研究発表>
①子どもの育ちを支える「親」を支援するとは(子育て支援活動を基盤に)
[吉岡眞知子:東大阪大学]
②教育労働のサービス業化とそれがもたらす教職員の疲弊
[上田孝俊:武庫川女子大学]
③新任教員を支える立場より「新任教員の可能性を育み、自身の持てる教育を獲得させるために」
[春木美治]
④看護師養成の現状と課題
[三宅靖子:太成学院大学]
⑤保育士養成の現状と課題
[長谷範子:四天王寺大学]
<全体討論>
「大阪から今日の教育課題を考える」
●大阪での教育実践と課題
大阪府下小学校教師・中学校教師
●「子どもを支える教育の論理と大阪の『教育改革』の問題」
田中孝彦(武庫川女子大学)
<自由研究発表>
①生活臨床の実践に基づく子ども理解に関する検討
-小学生に対する睡眠健康教育の実践内容に基づく報告-
[河西利枝:明石市立貴崎小学校、小谷正登:関西学院大学、岩崎久志:流通科学大学、加島ゆう子:兵庫県教育研究所、木重果:西宮市立浜甲子園中学校、三宅靖子:太成学院大学、下村明子:梅花女子大学、藤村真理子:伊丹市立摂陽小学校、白石大介:元武庫川女子大学]
②<研究ノート>ポスト産業主義の社会における「教育改革<生きる力>」の方策について
-グローバル化のもとハイパーメリトクラシ―に劣り、自ら労働市場から身を引くひきこもりの深淵から考える-
[秋山和雄:セラピスト]
③臨床教育学とフィンランド研究(1)
-フィンランドの二人の教師の聴きとりから-
[田中孝彦:武庫川女子大学]
④生活綴方実践のあゆみと子ども把握
-自己の実践をもとにして-
[北川健次:近江八幡市立島小学校・武庫川女子大学院生]
<記念講演>
塚原成幸氏(臨床道化師、日本クリニクラウン協会事務局兼アーティスティックディレクター、社会福祉士)
「病いとともに生きる子どもたちと臨床道化師の役割」
<シンポジウム>
「大震災の中での教師・援助者の役割-阪神・淡路大震災から問い直す-
シンポジスト
松木依子(西宮市浜甲子園中学校)
澤 徹 (武庫川女子大学教職専門員)
倉石哲也(武庫川女子大学教員・社会福祉学)
<自由研究発表>
①自分探しをする高校生
[石野公平:不登校・ひきこもり相談員、武庫川女子大学大学院生]
②もう一人の自分との対話が実践を切りひらく-教師の日記・学級通信の実践から-
[北川健次:滋賀県・小学校教師、武庫川女子大学大学院生]
③生活の質の向上に向けての生活臨床の意義に関する検討
-「高等学校生徒・保護者・教師の生活実態に関する質問紙調査」の結果-
[岩崎久志(ほか発表者):流通科学大学]
④保護者の障害受容にソーシャルサポートが及ぼす影響-家庭児童相談員による発達障害児の実践事例を中心に-
[宋知潤:大阪市保健福祉センター子育て支援室・家庭児童相談員]
<記念講演>
河野朗久氏(医療法人河野外科医院、大阪府監察医、大阪児童虐待等危機介入援助チーム委員、専門は小児の法医学)
「法医学的視点から見た児童虐待」
<シンポジウム>
「『児童虐待』に関する教育・福祉分野での具体的実践」
パネラー
阿部 昇(兵庫県スクールカウンセラー)
川本真美(神戸真生乳児院ファミリーソーシャルワーカー)
<自由研究発表>
①特別支援学校のセンター的機能の充実と若手教職員への専門性の継承
-夏期公開講座の取り組みをとおして-
[平岡昌樹:大阪市立平野特別支援学校]
②生活病理・生活臨床に関する臨床教育学的研究
-小学校調査の自由記述報告-
[岩崎久志:流通科学大学]
③ひきこもる若者たちの声を聞く
[小林 剛:武庫川女子大学名誉教授]
<記念講演>
湯浅誠氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)
「反貧困の立場からみた人間関係の“溜め”の問題」
<シンポジウム>
"現場にみる貧困の様相と発達援助の実際"
シンポジスト 保育:石塚尚美(幼稚園園長)
小学校:深津孝子(元小学校教員)
福祉行政:中村又一(市福祉事務所職員)
コーディネーター:倉石哲也(武庫川女子大学)
<自由研究発表>
①生活病理・生活臨床に関する臨床教育学的研究 ~1~
-乳幼児調査から見た睡眠の状況-
[三宅靖子 白石大介 小谷正登 岩崎久志 藤村真理子 来栖清美]
②生活病理・生活臨床に関する臨床教育学的研究 ~2~
-乳幼児調査の自由記述報告-
[来栖清美 白石大介 藤村真理子 岩崎久志 小谷正登 三宅靖子]
③看護士の患者に対するコミュニケーション・スキルに関する分析研究
[原田俊子:白鳳女子短期大学]
④生活保護受給母子世帯の就労自立の困難性
-自立阻害要因の分析を通して見えてくるもの-
[中村又一:守口市福祉事務所]
⑤夜間高校通学生についての考察
[梨木昭平:大阪市効率高等学校]
<記念講演>
野口善國氏(弁護士)
「歌を忘れたカナリアたち~子どもは必ず立ち直る」
<シンポジウム>
"私にとっての臨床教育学~それぞれの現場から~"
シンポジスト 看護:山田明美(看護士)、教育:小野友規子(小学校教員)、
福祉:佐味秀雄(児童心理士)
引きこもり支援:森下徹(神戸ISIS)
●コーディネーター:小谷正登(関西学院大学)
<自由研究発表>
①愛着(アタッチメント)障害の世代間連鎖
-カウンセリングでどう対応できるか-
[大谷朗子:武庫川女子大学]
②非行少年にとって発達促進的要素になる就労体験
-就労体験を生かす面正常の工夫-
[廣井いずみ:関西国際大学]
③高等学校における生徒と教師のストレス問題に関する臨床教育学的一考察
[佐藤琢志:大阪市立高等学校]
④スクールカウンセラーの危機介入の在り方
[目黒信子:兵庫大学]
⑤文学を通して生徒指導の課題を理解する
[上田孝俊:武庫川女子大学]
⑥男女共学化・大学との合併-変貌する私立高校
-保健室から見た生徒・教員・学校の変化-
[宮永啓子:関西大学北陽高等学校]
<シンポジウム>
"現代の子どもの問題と臨床教育学"
シンポジスト 田中昌弥(北海道教育大学)、森博俊(都留文科大学)
小林剛(武庫川女子大学)、広木克行(神戸大学)
●コーディネーター:田中孝彦(都留文科大学)
<自由研究発表>
①軽度発達障害がある児童・生徒のための教職員支援
[大谷朗子:武庫川女子大学]
②「解離的」症状を訴える女子学生へのロールレタリングによる支援
[岡本茂樹:九州ルーテル学院大学]
③民間保育園・保育士勉強会の臨床教育学的実践報告
~ロールプレイ「問題」解決の力がつく聴き方を身につける
[石原順子:家族療法士、母子ホーム心理相談員]
④公立中学校でのストレスマネジメント教育 [春木美治:西宮市立中学校]
⑤小学校教師の被援助指向性の規定要因
[三星喬史:神戸大学発達科学部付属高等学校]
⑥教育臨床における学術的な支援に関する一考察~SCおよびSSWerとしての実践をふまえて
[岩崎久志:流通科学大学]
<記念講演>
堀尾輝久氏(東京大学名誉教授)
「発達教育学と臨床教育学」
<自由研究発表>
①DVDを使用したSafe Dating Class の効果
[井端美奈子:大阪府立大学]
②母親に対する葛藤に悩む女子学生へのロールレタリングを用いた支援
[岡本茂樹:九州ルーテル学院大学]
③知的障害者の就労支援
―コミュニケーションスキルトレーニングを通して―
[藤井薫:ワークセンターひょうご]
④援助者への援助の視点からの連携―ある軽度発達障害をもつ児童とその援助者―
[大谷朗子:神戸市教育委員会]
⑤対話力を育む学級経営の創造
―学級カウンセリングの臨床教育学的研究―
[寺田治史:東大阪市立小学校]
⑥学校・地域のネットワークによって生徒を支援した事例
―スクールカウンセラーと養護教諭が果たした役割について―
[目黒信子:京都創成大学、老田智恵美:伊丹市立中学校]
本学会が本日こうして生まれるまでには、足かけ3年近い経過がありました。以下学会づくりの経過について述べることとします。
本学会が生まれるには、なんと言っても武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科がその基盤であったことは言うまでもありません。
本研究科が世の注目の中で開設されたのは、今から13年前の1994年のことでした。
教育の制度として「臨床教育学研究科」と名乗って開設されたのは、日本で初めてのことであり、マスコミからも注目され、華やかなスタートとなりました。
当時第1期生を迎える入試は、6倍の競争率でありました。1997年には、待たれた博士課程が認可され、名実ともに臨床教育学の「学」の体制が整い、夜間の本研究科は、熱く学習意欲に満ちた社会人院生で溢れたのであります。
こうした背景の中で、修了生達からこのまま院を修了して社会に戻り、院から離れることには寂しさを覚えるという声もあり、もっと実践や研究を継続して院と繋がっていたいというニーズが強く、1999年に「臨床教育学の理論と実践を交流する場」として「臨床教育学一学内学会」が、ゆるやかな規約のもとに生まれました。
引き続きこの年、「学内学会第1回研究大会」が開催されました。この時の記念講演は、京都大学名誉教授の和田修二先生が「臨床教育学の前史」と題して講演され、併せてシンポジュウム「教育崩壊の危機を検証する」を開き、活発な議論が展開されました。
以後、毎年欠かさず「学内学会」が開催されてきました。以下各回の研究テーマは以下の通りでした。
第2回大会-少年事件を検証する(2000)
第3回大会-性犯罪者支援をめぐって(2001)
第4回大会-ひきこもりと現代(2002)
第5回大会-対人援助者への支援(2003)
このころ日本教育学会の臨床教育学の研究者が集まって、文科省の科学研究費で「臨床教育学と教師教育」というテーマ(代表 田中孝彦先生)で研究が始まり、本研究科の福井先生と私がこの研究プロジェクトのメンバーとなりました。
第6回大会-本研究科10周年記念に併せて二つのシンポジュウムが企画されました。
(1)「臨床教育学のこれまでとこれから」
(2)「国際シンポ―いじめ不登校のないデンマーク教育」
この大会で、初めて総会において「臨床教育学会」づくりが提起され、大枠の了解が得られました。
この間の日本教育学会の動きは「臨床教育学」を巡って活発化し、科研費研究も一層進行していきました。
2005年1月、本研究科修了生ならびに教員によって「第1回臨床教育学会設立準備委員会」が開催され、委員は各期各ゼミのバランスを考慮して12名で構成されました。以後、この会を中心に「学会創立発起人」の選定、呼びかけの「趣意書」作成、規約づくりなどがはじまったのであります。
2005年3月、第2回設立準備委員会が開かれ、趣意書、規約の大筋が承認されました。
2005年5月、第3回設立準備委員会において「学会設立の呼びかけ人」を決定しました。
2005年7月、第4回設立準備委員会において、第7回学内学会研究発表大会の詳細を検討すると共に、学会設立の総会の持ち方を検討しました。
2005年9月、第7回学内学会研究大会が開催されました。この時の記念講演は北海道教育大学の庄井良信先生による「臨床教育学研究の動向と今後の課題」と題する標題で、学会づくりに相応しい有益な講演を聴くことができました。
この時の大会主題は「臨床教育学―私の研究・私の実践」でありました。
以後、学会設立に向けて準備委員会が数回もたれ、学会名をどうするかということになり、「武庫川臨床教育学会」とすることに決まりました。
ただし日本臨床教育学会が立ち上げられたあかつきは、日本臨床教育学会関西支部ということも考えられるとの含みも残しました。
2006年3月には、学会設立呼びかけ人13名が決まりました。本研究科関係以外の方は以下の通りであります。
都留文科大学―田中孝彦氏、北海道教育大学―庄井良信氏、
大阪樟蔭大学―森田洋司氏、明治大学―諸冨祥彦氏、
前近畿大学―花田雅憲氏、昭和女子大学―押谷由夫氏、
関西学院大学―南本長穂氏、
関西カウンセリングセンター―井本恵章氏。
2006年5月、第8回準備委員会で、学会創立記念講演者が、前日本教育学会会長の堀尾輝久先生に決まりました。また役員、資金、事務局体制、広報などについても議論を行いました。
2006年9月2日、武庫川臨床教育学会創立総会・第1回研究発表大会が盛大にもたれ、学会発足となった次第です。
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